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けものフレンズで描かれているもう一つの魅力について<1話編>

けものフレンズの流行と共に、その面白さを解体する文章が多数投稿されるようになりましたが。「ポストアポカリプス」「実は練り込まれた動物描写や設定」「語録」などの部分に偏っているきらいがあると判断し、今回は別の視点からお話をしようと思います。

 

 

けものフレンズ第三の魅力

けものフレンズ1話に絞ってお話していきましょう。

道中かばんちゃんは、フレンズ基準での簡単な道を前に何度も躓くことになります。

「飛び降りられない崖」「ジャンプで渡れない小川」そして「小型のセルリアン」そしてその度に、サーバルちゃんは手を差し伸べて起こしてくれます「フレンズによって得意なことは違うから」と。

しかしその後木陰での休憩での「わたし、あなたの強いところだんだんわかってきたよ」からサーバルちゃんの態度に少し変化が見られます。

 

「木登りが出来ると逃げたり隠れたりするのに便利だよ」とサーバルちゃんは”出来る出来ないに関わらず『出来たほうが良い』”という形で木登りを練習させようとするのです。

初見の時は「サーバルちゃんが木登りが好きなことを紹介するだけの映像」だと思っていたこの一連のシーンでしたが何度も見ているうちに

 

セルリアンから逃げられなかったかばんちゃん→木登りが出来ると逃げたり隠れたりするのに便利

という導線が見えてきます。

そもそも最初サーバルちゃんはかばんちゃんを「途中まで案内するよ」と最後までついていかないつもりでいたことが示されており「今後かばんちゃんがセルリアンに襲われても大丈夫なように」木登りを教えている、ということが見えてきます。

「ヘーキヘーキ、フレンズによって得意なこと違うから」と言ったとはいえ、やはりセルリアンから自衛が出来ないのは問題だと心配してくれたサーバルちゃんの優しさですね。

そしてその後坂道でかばんちゃんが転びますが、サーバルちゃんはすぐに手を差し伸べには行きません、そしてすぐに自力で起き上がったかばんちゃんを見て安心したような顔をします。

「あなたの強いところだんだんわかってきたよ」です。

少しづつかばんちゃんが自力で出来ることは自力でやらせるようになっていきます、そして水場について二人で水をのんで顔を見合わせて笑いあいます、「笑い笑えばフレンズ♪」二人はこの時に「案内する人 される人」ではなくフレンズになって”いた”んですね。

 

そしてそこでカバが現れます

サーバルちゃんとは別のフレンズから見たかばんちゃんという動物の評価が下されます「あなた何にもできないのねー」しかしそこでサーバルちゃんは言います「そんなことないよ!」しばらくかばんちゃんと一緒にいて、かばんちゃんを見てきたからこそ言えるサーバルちゃんの評価です。

カバからのフォローとして「サーバルみたいに耳も鼻もいいし足も速いのにオッチョコチョイで全部台無しな子もいる」「私も泳げない」というフォローがありつつも「自分の身は自分で守ること サーバル任せじゃだめよ」という忠告が入ります

 

そしてその後ゲートでの大型セルリアン戦では

かばんちゃんがセルリアンの弱点である石を見つけ

かばんちゃんが紙飛行機でセルリアンの注意を反らし

かばんちゃんがサーバルちゃんに「今のうちに」と声をかける

 

これまで助けてもらった分を返すようにかばんちゃんがサーバルちゃんを助けます そしてそこで初めてカバが加勢にきてかばんちゃんを助けます。

 

一応前のシーンでカバが何度もサーバルちゃんに注意したりしとオカン気質なのは示されていたので加勢に来ること事態には驚きはありませんが、それでも”これまでサーバルちゃんに助けられていたかばんちゃんがサーバルちゃんを助けた時に また他の人がかばんちゃんを助けてくれる”という構図が素晴らしい。

そして「変わった子ね、でもサーバルを助けようとしたのね」の言葉を残してカバは帰ります、「サーバル任せでなく自分の力を発揮したかばんちゃんを見て」。

そしてサーバルちゃんからは、そうこのアニメで最初になる「すっごーい!」の言葉をもらいます、「つくったー!」サーバルちゃんからすごいと言ってもらえるようになるんですよここで。

そして別れの時

「ありがとうございました、本当にサーバルさんがいなかったら僕…」

「かばんちゃんはこんなにすごい技を持ってるんだもん!何があっても大丈夫だよ!」

 

そう、もうかばんちゃんはサーバルちゃんから見て立派にパークでやっていけるフレンズになったんです。

 

「そうだ今度あった時はサーバルちゃんって呼んでね!話し方も普通に!もう”お友達”だから!」

 

そして出発するかばんちゃん、夜の森という恐怖から下を向いて歩いてしまいますがそこに再びサーバルちゃんが現れます。

「やっぱり気になるからもうちょっとついていこうかなって、ほら約束でしょ次会った時だからサーバルちゃんって呼んで」少し照れながらそう言います、二人はこの時本当に「対等」な友達になり、ここから物語が「かばんちゃんが図書館を目指す物語」から「かばんちゃんとサーバルちゃんの二人が図書館を目指す物語」へと変わるのです。

 

「何があってももう大丈夫」と太鼓判を押した上で「それでもついてくる」サーバルちゃんのその気持ち 泣いちゃいますね。

 

さてここまで事実上1話の流れを全部そのまま書いたみたいになっちゃってますがここまで読んできた皆さんは1話が「視えてきた」んじゃないでしょうか。

「1話だけはつらい」「1話で切った」とも言われがちですが改めて見直してみれば、サーバルちゃんのかばんちゃんを見る動作や気持ちなどが非常に丁寧に描かれていてとても面白いですよ。

 

この「気持ちの動き」の丁寧さを、そして「その流れになることへの説得力」を、けものフレンズの第三の魅力として私は提示したいのです。

 

もちろん滅んだパークのことやかばんちゃんのルーツのことも気になりますし、これが正解というわけでもありませんが、こっちにも少し目を向けてみると感動的な物語がそこにありますのでそのあたりについて喋ってくれる人が増えたらいいなと思います。