美少女バトルロワイヤルに新たな風を吹き込む快作グランベルム・承認欲求が戦いの動機になりえる現代

今期のアニメで今の所一番面白いのが

 

「グランベルム」である

何の取り柄も無い主人公がある日

密かに開催されていた魔術師の戦いに巻き込まれ

勝者は魔力のすべてを手に入れるという…

自らの分身である巨大ロボット

アルマノクスに乗り込み戦いは加速する

 

そんなもはやベッタベタのテンプレートに

「またか?」と思わせつつも

 

実はまったく違う色と味付けをしていて新鮮なのがグランベルムである。

 

何より特徴的なのが主人公の小日向 満月

何も知らない一般人が突然バトルロワイヤルに巻き込まれる時

主人公となる人物は何を動機に戦いますか?

「戦いを止める?」「なんであれ目の前の困っている人を見捨てられない?」

「本当は戦いじゃなかったはずなのにいつのまにかデスゲームに」

 

様々な形アレど「そういう感じ」というのは固定化されてきた感じがありますが

グランベルムの主人公である満月ちゃんは違う。

 

最初は「私には何も無いから」と率先して人を手伝う姿を見せていたため

衛宮士郎のように自己をどこまでも犠牲にして他人に奉仕できるタイプか?」と思われていた彼女の動機は唯一つ「承認欲求」である。

 

学校で誰かの手伝いを率先してやることも何もかも

彼女自信の善性による奉仕活動でも何でもない

「そうすることで承認してもらえるはず」という対価を求めて故の行動であり。

そこまでやっても「私は誰にとっても特別じゃない!!!」と満たされぬ承認欲求を抱えたグリードのような女。それが小日向満月である。

だから彼女は魔術師の戦いに参加する

 

優勝して叶えたい願いがあるのではない。

「戦いに勝ち抜いて優勝した人間である!」という称号を自分に付与するために。

 

そんな主人公をヒロインの一人であり魔術師の新月ちゃんは止める

「それは思春期特有の気の迷いである」ということを丁寧に説明する。

視聴者も「まぁこういう承認欲求の拗らせ方は思春期特有の」と思っていた

 

小日向満月は他人の関係性に敏感な少女だ

アニメの主人公にしては珍しい方だとも言える

「彼女はなんで私に突っかかってくるんだろう」みたいな鈍感要素はアニメのテンプレ的な感じになりつつあるが、小日向満月は「あの娘が新月ちゃんに突っかかるのはたぶんこういう事情だろうな」みたいなのを概ね察する

 

そして同時に視聴者に「彼女はこのぐらい他人の人間関係を把握する能力があり。その上で強烈な感情をぶつけてくる人間がいないことを指して『私はいなくなってもかまわない人間』と自称している」という事実をぶつけてくる。

 

自分の行動原理が承認欲求だと自覚してる上で「本当に他人がどの程度自分を気にしているかわかってるので満たされない」という承認欲求溢れる令和の時代の新主人公像ではなかろうか。

 

だいたいこういう承認欲求キャラって主人公じゃなくてバトロワの序盤ですぐ死ぬ役に配置されるしな…

 

そういう意味では主人公を主人公たらしめる動機としての「承認欲求」として

「巨大ロボットを運転する」ということの万能感を組み合わせてバトルロワイヤルに組み込んだ今作はとても楽しい。

作画によるSDメカアクションはコミカルながら迫力満点だし登場人物の感情ののった演技も相まってワクワクさせてくれる。

 

そして主人公に戦い方を教えてしまった新月の目的は「戦いを止める」こと。

この先にまっているのは「新月に特別な感情を向けられるために 戦いを最後まで続けようとする満月の姿」なのかそれとも?

 

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