面白い悪役令嬢物なろう小説にハマった

悪役令嬢物というジャンルをご存知だろうか。

異世界転生の一種で「女性向け恋愛シミュレーションゲームに出てくる主人公をイジメる役割の金持ちの女」に転生してしまうというジャンルで、原作ゲームをプレイした知識を用いてバッドエンドを回避するためにあれやこれやと策謀を巡らせたり人間関係を調節したりするジャンルだ。

 

しかしながらゲームの世界に転生するというのも難儀なものである

こういうゲーム世界への転生はだいたいゲームの始まりとか、悪役令嬢物だと「主人公をいじめてたことがイケメン達にバレる瞬間」とかに放り込まれるパターンとかそういうのがある中で、今回紹介する作品は「赤ちゃんとして生まれる」ところからスタートしてしまった長い長いストーリー

 

現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変

を紹介したい。

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現実世界ではブラック労働の果てに野垂れ死にした主人公が気がつくと、赤ちゃんになっており、自分の名前は大好きな乙女ゲーの悪役令嬢「桂華院瑠奈」だったことに気づく、しかしゲーム内で描かれていた学園生活は18歳になってから、つまりそれまでは現実世界の過去にタイムスリップしたのとほぼ同じ状態であり、この先の時代に起こることも現世の記憶でだいたいわかってしまう。

そして決定的な真実「自分がゲームのEDで主人公に負けるタイミングはリーマンショックで株式市場が崩壊する日」来る世界経済崩壊の日に向けて、とりあえず自分の家を守るため恋愛そっちのけでマネーゲームや政治工作を始める経済サスペンス!

 

というのが概ねのあらすじ。

 

この作品の面白いところは「日本という国で名家の令嬢がしかも小学校上がる前から政治的に好き勝手できるかどうか」という部分のリアリティをどうするかという点で、「微妙に違う歴史」を採用しているところ

まぁ平たく言うと日本に華族が残ったままで、第二次大戦も無条件降伏ではなく『降伏』で終わったので財閥解体も発生していないIF日本における架空戦記のようなものだ

 

乙女ゲーの世界に転生したのに?!?!

まぁ金持ちとはいえまだ小学校にも上がってない女の子が経済に介入する口実としての「華族家系の出身」という家柄を用いた強引な介入は時に家柄ゆえの問題に振り回される。

 

1990年に生まれ 2008年に迎える乙女ゲーのバッドエンドとリーマンショックの同時発生に備えると言ってもまず90年生まれの女の子が物心つく頃には目の前に広がっているのはバブル崩壊の余波にあえぐ日本である。

 

北海道拓殖銀行の崩壊、山一證券倒産などの歴史的バブル終了イベントの山を前に、己の現代知識(どこが潰れるか知ってる)と令嬢に生まれた故の根本的にスペックの高いボディと脳みそを組み合わせて、経済に介入地盤を固める巨大銀行を形成、さらには時の政権に介入し最悪の事態を回避していく。

 

さらには母方の血筋がロシア系だったことが原因でロシア王朝復活に担ぎ出すために誘拐未遂が起きそうになったりそれで警視庁公安部と接触したり。

 

果ては史実通りにブッシュを当選させるためにアメリカで選挙支援やってCIAに目をつけられたり。

 

なまじ史実を知っているが故に2002年貿易センタービルへのテロを防げぬことに歯噛みしたり…

 

あの…これ乙女ゲーの世界に転生する小説でしたよね?となりつつも、幼稚園、小学校と年代の進行と共に学園生活の描写も増え、ゲーム内で攻略対象となるイケメンとのドキドキイベントもあるが、それ故に「最後には主人公と一緒になった彼らが私を倒しにくる」という備えをしなければならない悲しみ。

 

郵政民営化を叫んで当選したあの総理大臣がこっちの世界ではよりにもよって「財閥解体華族特権に切り込む!」なんて政策で突っ込んで来たものだからさぁ大変!引きずり降ろそうにも当時の野党の代表はハトポッポ!真正面から政治しあうしかねえ!。

 

ITバブル・エンロン事件・三洋電機破綻・消費税3%から5%に増税で忙しくて動けない政府

大長編で描かれる歴史経済IF日本サスペンス恋愛超大作

 

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