キン肉マンに今起こっていること

現在キン肉マン周りを騒がせている一連の騒動は非常にわかりづらいため一度整理させていただきたい。

 

今のキン肉マンは2011年から週プレNEWSというWEBサイトで「ネット連載」だけを続けていた。

紙の雑誌では一切連載されておらず、ネット連載のみの状態で9年間連載を続け「キン肉マンは今が一番面白い」と言われるほどの盛り上がりを見せた。

 

そして盛り上がりが繁栄されたのかキン肉マンは2020年8月より雑誌「週刊プレイボーイ」に紙の雑誌連載として復活する運びになった。

これにより「午前0時には公式HPで無料で読めるが 紙で読みたければプレイボーイを買う」という選択肢が生まれる

 

つまり8月に雑誌に復活するまではキン肉マンファンが(単行本待ち組以外は)全員WEB連載を追いかけていたということをまず覚えておいてほしい。

 

そして雑誌復活以後、作者であるゆでたまご先生による「スクリーンショットが目に余る」というツイートが投稿されたことで、ファンコミュニティはスクリーンショット自粛の流れになり、この流れそのものは誰も文句は無かった。

 

で問題になったのはこの先の話である

誰も「スクリーンショットを上げちゃいけません」という先生の言葉には文句を言ってないことを頭に入れておいて欲しい

 

スクリーンショット禁止令が出された次の週の更新日、また午前0時には週プレNEWSにWEB版が更新され、作者も自身のTwitterでURLを載せる、ファンは一斉にそれを読み。スクリーンショットを上げずに感想をつぶやきあい盛り上がっていたのだが。

  

 

まさにそのタイミングで週プレ編集部が「会社としての」見解を発表。

 

どういう裁定が下されるのかと思ったら

「悪質な著作権侵害、ネタバレ行為(文章によるものを含みます)に対しては、発信者情報開示請求をはじめ、刑事告訴、損害賠償請求などの法的手段を講じることもありますので、ご注意ください。」

というめちゃくちゃ強い文章を公式で発表。

全文はこちら

wpb.shueisha.co.jp

 

公式がWEBで配信した物を読んで盛り上がった人達への突然の冷水にネットは騒然となる。

何よりも混乱を生んだのはこの発言の後普通に「今週のキン肉マン こうでこうでこういう展開だった」という明らかにネタバレみたいなツイートをキン肉マン公式がRTし「感想ならいいんですよ」と基準の不明瞭な線引を提示。

 

スクリーンショットが駄目というのは著作権の話でわかるのだが

公式の発売日を過ぎたものの感想文がネタバレとして訴訟される可能性が発生してインターネットが大騒ぎしてるのが今現在である

 

決して「スクリーンショットは駄目に決まってるだろ」などというツッコミで済む問題ではない。

 

もちろん過去にワンピースのネタバレを載せて逮捕された人達もいたが、彼らが捕まったのはあくまで「発売日前のジャンプのネタバレ」をインターネットに送信したからであって。

「発売日になったら公式が無料でインターネットに全部アップロードしてるキン肉マン」だと話が違う「地方だと雑誌が発売日に届かなかったりする」などの擁護意見もあったが「だったら公式HPに行けば地方でも関係なく発売日に読めるのがWEB連載の良いところなのでは?」と疑問符でいっぱいだ。

 

で、そこまでならキン肉マンとその読者の間だけの問題だったのだが。

ここでWEB連載のみの漫画を多数扱うアプリ「ジャンプ+」の編集長が「僕もこの声明文と同じ気持ちです」というツイートを投稿

 

この「同じ気持ちです」というのがやっかいで、素直に読むなら声明文の内容は『スクリーンショットだけでなくネタバレも法的措置していく』という文章に同意しているとしか受け取れないため

「週プレ編集部だけでなく、ジャンプ+編集部もネタバレ(と判断した感想)に対する法的措置を検討しているのか?」とキン肉マンの外側にも混乱が広がる形に。

 

いわゆる「グレーゾーンの話なのでは?」と思うのかもしれないが、この場合グレーゾーンになってるのはネタバレがありか無しかではなく「感想はどこまでがネタバレなのか」の部分なので「ネタバレしなければ感想はOKですよ」と言われても「基準が示されていない以上法的措置を検討してるんですよね…」という空気になり。同日更新されたジャンプ+WEB連載の漫画「怪獣8号」がトレンド入りするものの感想ツイートの大半が「怪獣8号 面白かった」という当たり障りの無いツイートが大半という事態に

 

流石に焦ったのかここでジャンプ+”副”編集長が「感想は大歓迎です」とのツイートを投稿、さらにジャンプ編集の林子平氏が「WEB連載に早バレはありません」「感想大歓迎です」

と改めて投稿する事態に発展、そもそも週プレ編集部の問題だったキン肉マン問題がジャンプ+編集長の余計な一言で「ジャンプ編集部も同じ気持ちなのか?」という形で炎症が広がっているのが現状である。

 

ちなみにジャンプ+編集長は迂闊なツイートをしたことには謝罪しているが「スクショを貼って無くても文章でネタバレしたら法的措置」については撤回していないので、感想大歓迎です!と言われても感想が投稿できるのかは不明な状態である。

 

「文章によるネタバレは法的措置 でも感想は大歓迎」と言われてもどこまで書いたらネタバレと判定されて法的措置が飛んでくるかの物差しが読者側から一切見えない状態という意味での「グレーゾーン」は同人誌のグレーゾーンとは明らかに別物で、「いつ何時法的措置されるかわからない」という不安しか産まない文言だし、ある意味この騒動では一番問題があると思う。

 

 

 

 

そんな中ゆでたまご先生は「一週間かけて一生懸命描いた作品がアップ後、たった5分で消費され SNSにスクショ、ネタバレされたら悲しいよね。」と投稿

 

この「たった5分で消費され」の言葉に「WEBで読んでるやつらのことそう思ってたのか…」とファンコミュニティの一部が落胆

 

さらにリプライで「雑誌で連載するからWEB版を消してもいいものを先生のご厚意で残しているのに」とのファンの言葉に「そうですだからWEB連載を残してるんです」というお返事を先生が返したことで、騒動はネタバレのありなしを超えて

 

「紙の連載に戻れたからもうWEBはいらないけどお情けで残しているという態度なのか?」という形でショックが広がる。

 

今後の展開は今週のキン肉マンが更新される日曜日になるまでおそらくわからないが。

 

「うちは地方だから雑誌の発売が遅くて」という人達でも遅れること無く手元のスマホやパソコンから発売日に即座にアクセスできるインターネット無料連載という素晴らしいシステムに対して「それの利用者はネタバレ 雑誌の発売まで待て」という謎のレトロ思想に引っ張られたのはとても個人的に悲しいし、この騒動がWEB連載という最新のIT技術を理解してない人達から「早バレ」と言われていることすら個人的なショックが大きい

 

ゆでたまご先生自身が「更新日の0時から熱心に読んで盛り上がっているファンがいて嬉しい」とインタビューで語っていたのもあって、雑誌連載が復活したとたん「雑誌連載が復活したからWEB連載いらないけどお情けで残している」「WEB連載で読んでるやつは雑誌に配慮しろ」「0時から盛り上がるのはネタバレ」などと手のひらを返されるとは予想だにしなかったのでただただ、そうか…これまでキン肉マンの更新日にキン肉マンの話で盛り上がったのは迷惑だったのか…と悲しい気持ちになるのみです

 

この問題はおそらく解決しないですし、今後も「ネタバレはやめましょう」という言葉にこの複雑な問題が単純化されてしまうのだなと思いますが、SNS上でキン肉マンについて盛り上がる時間はもう無くなったんだなと思うばかりです。